日本国際法律家協会は人権,民主主義,平和,環境などを通して法律家の国際的な連帯を求める活動を行なっています。
 
 
 


声 明
リビアに関するIADLとELDHの
共同声明(2011年3月4日・24日)


<英文はこちら>

 チュニジアから始まり、エジプト、イエメンなど、イスラム国で広がっている民衆の抗議行動は、リビアでも起こり、これに対してリビア政府は、空爆を含む軍事行動をとっている。国際民主法律家協会(IADL)と民主主義と世界人権のためのヨーロッパ法律家協会(ELDH)は、共同声明を発表し、民衆の抗議行動に対する軍事行動をやめるように要求し、他方、リビア上空に飛行禁止区域を設けることに対しては、それ自体が軍事行動に結びつくという立場から、反対の意思を明らかにした。他方、国連安保理事会は、2月26日の決議/Res/1970(2011)を想起しつつ、さらに一歩踏み込んだ決議S/Res/1973(2011)を、3月17日に賛成10、反対0、棄権 5 (ブラジル、中国、ドイツ、インド、ロシア)をもって採択した。3月19日に英仏米を主力とする多国籍軍は、リビアの主要都市に爆撃と巡航ミサイルによる攻撃を加えた。日本政府は、安保理事会の決議に賛成し、加えて「軍事行動」を容認した。われわれは、憲法9条および国際法の基本原則から、この状況に抗議する。(解説と翻訳・新倉修)

リビアに関する声明(2011年3月4日)

 国際民主法律家協会(IADL)および民主主義と世界人権のためのヨーロッパ法律家協会(ELDH)は、いささかの留保もなく、リビアにおける民主的な大衆デモンストレーションへの野蛮な弾圧を強く非難する。民間人に対する無差別な爆撃があったと伝えられているが、もし事実であるならば、これは人道法の中核となる原理を侵害するものである。
  チュニジア、エジプトその他アラブ諸国と同様に、青年は、市民的自由を無視して、西欧の利害に従属してきた体制に反対して立ち上がった人びとの先頭に立っている。民主的な法律家、法曹、裁判官は、個人および集団の権利の保障の上に実効ある法の支配を樹立することを目的とするこの革命の最前線にいる。
IADLおよびELDHは、次の通り呼びかけるものである。

・カダフィ体制への支持を直ちにやめ、この体制との矛盾点を明らかにすることを求めること

・リビア人民の流血をもたらす行動を直ちにやめ、リビア体制が人道に対する犯罪を行っている容疑にもとづき、国際刑事裁判所の裁判を受けることを強調すること

 同時に、飛行禁止区域の設定を含むこの地域への外国によるいかなる軍事介入にも反対の意思を明らかにする。


リビアに関する国連安全保障理事会決定1973(2011年3月17日)ならびにアメリカ、フランスおよび飛行禁止区域の設定による軍事行動に関するIADLの声明(2011年3月24日)

1 国際民主法律家協会(IADL)は、リビアにおける民主的な大衆示威運動への野蛮な弾圧をかねてより強く非難し、民間人に対する無差別な爆撃は、伝えられることが事実であれば、人道法の中核となる原理を侵害するという声明を発表した。IADLはさらに、カダフィ政権への支持を直ちにやめるように求め、リビア人民の流血をもたらす事態を直ちにやめるように求めた。IADLは、リビア政権が人道に対する犯罪について責任があり、したがって国際刑事裁判所に引き渡されることを強調した。とはいえ、IADLは、飛行禁止区域の設定を含むリビアへの外国の介入には反対した。

2 国際連合の加盟国はすべて紛争を平和的な手段によって解決することを求める国連憲章2条4項や基本的な国内事項への干渉を禁止する憲章2条7項があるにもかかわらず、安保理事会は、2011年3月17日に、民間人保護の名目で飛行禁止区域の設定を許容する決議を採択した。この決定は、憲章2条4項および7項の両方に合致しない。

3 IADLは、この決議が採択されるやいなや、リビアにおける民間人に対する攻撃を終結させる平和的な方法が、フランス、連合王国およびアメリカ合衆国によって放棄され、リビアに飛行禁止区域を設定するために軍事行動が開始され、これによってさらに多くの民間人を死傷するおそれに曝させることになったことを銘記する。

4 IADLは、したがってこの決議およびこれに基づく軍事行動を強く非難し、かつ、カダフィによる自らの人民に対する行動を強く非難し、このような攻撃はすべてやめるように求めるものである。

5 IADLは、民主的な運動に対する支援を確認し、さらに、自決と不介入の原則に基づくリビア国内の紛争の平和的な解決に対する支援を確認するものである。



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