日本国際法律家協会は人権,民主主義,平和,環境などを通して法律家の国際的な連帯を求める活動を行なっています。
 
 
 


普天間基地に関する声明
 
 新聞によれば、政府は、沖縄にある米軍海兵隊が使用する普天間基地の返還問題に関連して、代替施設の提供が必要だとして、その候補地を県外に求めることを断念し、県内での移設の可能性が大きいと言われている。
  われわれ日本国際法律家協会は、国際連合憲章の精神と日本国憲法の理念の実現を求める立場から、このような政府の判断が、二つの点から批判を免れないと考え、強く再考を求めるものである。
 
1)日本には、米軍海兵隊に基地を提供する義務はない。
  そもそも沖縄における米軍基地は、1945年8月14日のポツダム宣言受諾後までも住民を強制収容所に強制収容している間に土地を取り上げて、冷戦の開始とともに「銃剣とブルドーザー」によって不法に拡張されて建設されたものである。このような行為は,戦時国際法によっても正当化はできず、国際法に違反する。さらに、これを糊塗するため援用される日米安保条約は、日本政府の意思に基づくこと、ならびに、日本および極東の安全の目的に資することを条件として、米軍に基地を提供することを定めているが、米軍海兵隊は、その性格上、このような目的に資するものではなく、その駐留は条約上根拠を欠く。また、日本に存在する米軍基地・施設の75%が沖縄1県に集中しており、沖縄の県民はこぞって米軍基地の縮小・撤去を求めている。全世界で普遍的に承認されている民主主義の原理は、民意に反する軍隊の駐留を容認するものではない。
 
2)日本には、憲法前文、9条、98条に基づき、米軍基地の撤去を求める権利がある。
  日本国憲法は、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることにないことを求め、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認するものであり、戦争を放棄し、陸海空軍その他の戦力を保持しないとし、戦時国際法・国際人道法を含む「確立された国際法規」を誠実に遵守することを誓約している。このような大きな平和構想から見て、日本に駐留する米軍の、少なくとも一部が、平和の実現と「恐怖と欠乏」からの離脱にとって、大きな問題があるような場合には、その原因となる事象を解決するために、国際社会に訴えることも含め、正当な権利を行使することができる。米軍基地をめぐって、墜落事故や交通事故、犯罪ならびに環境汚染が絶えない現状に照らすと、沖縄県民が普天間基地の返還を求めることには道理があり、日本政府は、その意思を尊重して、率先して、アメリカ政府に対して、普天間基地の速やかな撤去を求める権利があると言わなければならない。
 
2010年3月24日
日本国際法律家協会・理事会
会長 新倉 修 / 事務局長 笹本 潤
(C)1999-2007 by JALISA. All rights reserved.